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チロの思い出　１

　チロは平成５年１２月頃に広島県のある島で野良犬の子として生まれました。
チロが生まれた島では、ヒラメ等の養殖が行われており野良犬の餌はふんだん
にあったようです。その島に親戚を待つ近所のN家が里帰りをした際に、野良犬
に子犬が生まれたことに気がつき、その中で一番おとなしい（臆病な）子犬を選
び、京都に連れ帰って育てることとなりました。
　子犬の頃は、養殖のヒラメなど贅沢な物を食べていたようで、子犬として連れ帰
っても、かなり贅沢な餌をもらっていたようです。
　N家は当時は一軒の借家に住んでいたために、犬の飼うことについては支障が
なかったのですが、翌年の４月に近所にマンションを購入し、引っ越すこととなり
ました。引っ越し当日、私たちは家族三人で引っ越しのお手伝いをしていました。
　その時、狭い庭の端っこに犬小屋があり、そこから顔を出している白い犬がいる
ことは気がついていましたが、それ以上なんとも思っていませんでした。
　さて、引っ越しが終わり、引っ越し先の家で、手伝いに来られた人たちを交えて食
事をしていたところ、マンションでは犬は飼えないので、代わって飼ってもらえないか
という申し出がありました。その時は、特段犬を飼うつもりもなかったのですが、新た
な飼い主が見つからない場合には、保健所に引き取りに出されることになるので、「あ
あ、いいですよ。」と言って飼うことになりました。家族には反対意見もなく、セミドライの
フードと寝床として愛用していた発砲スチロールのケースとともに、我が家に新たな家
族がやってきました。その時、犬の名前はチロということを聞かされましたし、生まれて
４ヶ月にしてはやや大きい感じがしました。翌朝、まじまじとチロを観察したところ、体の
割には耳が大きく、また耳の後ろや前足のかかと付近の白い毛が天然カールしており、
いったい親はどんな犬なんだろうという気がしました。

チロの思い出２